3.知りたい情報はインターネットで

健康情報のためのソーシャルメディアの活用

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健康情報のためのソーシャルメディアの活用

ソーシャルメディアとは

 ソーシャルメディアとは、インターネット上のブログやFacebook、Twitter、YouTubeなどで代表されるものです。基本的にオープンで、誰もが参加できて、そこでつながりができていくメディアです。例をあげてみました[1]。

ソーシャルメディアの種類

ブログ

アメーバブログ、ココログ、Blogger

SNS

Facebook、Twitter、Google+、Tumblr、mixi

患者向けSNS

患者SNS、PatientsLikeMe

専門職向けSNS

LinkedIn、ResearchGate、Academia

医師向けSNS

メドピア、地域の医師会等のSNS、Sermo

看護師向けSNS

ナース専科、allnurses

動画・画像共有

YouTube、ニコニコ動画、Instagram、Pinterest、Vine

メッセージングアプリ

LINE、WhatsApp、Facebook Messenger

情報共有サイト

Wikipedia、SlideShare、クックパッド

口コミサイト

価格コム、食べログ

病院口コミサイト

Qlife、病院の通信簿

Q&Aサイト

Yahoo!知恵袋、OKWave(教えて!goo)

医師によるQ&Aサイト

アスクドクターズ

掲示板、フォーラム

看護ネットよろず相談所、2ちゃんねる、textream

 
 保健医療の世界でも、政府や行政機関(厚生労働省など)、病院、大学、研究所、学会や学術雑誌の出版社、大学教員や研究者(私もその一人です)、医師、看護師、薬剤師などの専門家やそれを学ぶ学生がソーシャルメディアを用いるようになりました。アメリカを中心として欧米では、保健医療関係のほとんどといってよいほど組織や団体がソーシャルメディアを活用しています。学会のサイトを見ても海外はほとんどTwitterやFacebookを使っています。日本の学会や組織はソーシャルメディア活用のメリットをまだ認識できていないと思います。
 健康に関する代表的な国際機関であるWHO(世界保健機関)のFacebookでは300万人以上の「いいね!」、Twitter(@WHO)では300万人以上、Google+で100万人以上、Instagramで約30万人のフォローがあります。YouTubeも視聴回数は1000万回を超えています。アメリカの厚生省にあたるHHS(保健福祉省)でもTwitter(@hhsgov)のフォローは60万以上、その所属機関であるNIH(国立衛生研究所, @NIH)、CDC(疾病予防センター, @CDC)は70万以上で、NCI(国立がん研究所, @NCI)などほとんどの機関でソーシャルメディアが使われています。市民向けの健康情報サイトMedlinePlus(@medlineplus)やHealthfinder(@healthfinder)などもそうです。
 また、アメリカの病院でもそうです。国際的に著名で評価の高いアメリカのメイヨークリニック(Mayo clinic)は、コンスタントに健康医療情報を発信していて、Twitter(@MayoClinic)のフォロワーも140万以上です。専門職のための研修プログラムやソーシャルメディアの活用のためのセンターを作り、グローバルなネットワークも作っています。そこにある考えは、一人ひとりは自分の健康をまもる権利と責任を持っているのだから、ソーシャルメディアを使ってベストな情報を得られて、医療者やお互いのつながりをつくることができる手助けをする責任があるというものです[2]。そのため、誰でも登録・参加できてオープンな症状・病気についてのオンラインコミュニティも設置しています。
 日本の厚生労働省のTwitter(@MHWLwitter)は40万以上と多いですが、Facebookの「いいね!」はまだ1000件くらいです。附属機関であった国立健康・栄養研究所のTwitterは2000件ほどで、厚生労働省の関連機関ではあまりソーシャルメディアは使われていません。

 世界で、どのように利用されているのかを、まとめたものが次です [3]。

ソーシャルメディアの利用のしかた

  • 幅広い病気や症状に対する健康情報の提供
  • 医学的な質問への回答の提供
  • 患者と患者、患者と医療者との対話の促進
  • 患者の経験や意見に関するデータの収集
  • 健康に関する介入、ヘルスプロモーション、健康教育
  • スティグマの減少
  • オンラインでのコンサルテーションの提供

 専門的な健康情報の提供だけでなく、患者同士や患者と医療者の対話を促進することがあげられています。また、市民や患者が健康や病気についてよく知ることで、健康になる方法を広めると同時に、病気や障害への悪いイメージ(スティグマ)を減らすことも期待されています。
 ソーシャルメディアを利用する長所としては、次のようなことがあげられています[3]

ソーシャルメディアの長所

  • 他者との交流の増加
  • 手に入りやすく、共用できる、テーラーメードな情報の増加
  • 健康情報へのアクセシビリティとアクセスの拡大
  • ピア(仲間)のサポート、ソーシャルサポート(情緒的なサポート)
  • 人々の健康のサーベイランス(問題発見のための継続的な調査)
  • 健康政策への影響力

 やはり、他者との交流が増加することで、自分に合った情報を見つけられて、サポートしあうことが可能になる点が大きいでしょう。それに加えて、人々の投稿をもとに、新たな健康問題の発生や重大な病気の流行がないか調べることも可能になります。また、健康に関する政策について知ることで、意見交換したり議論したりすることで、政策に影響を与えることも考えられます。
 ただし、良い点ばかりではありません。次のような限界があげられています[3]

ソーシャルメディアの限界

  • 情報の信頼性の欠如
  • 情報の質に関する懸念
  • 情報過多
  • 自分の健康状態についてネットで見つけた情報を正しく活用する方法がわからない
  • 行動変容のためにより効果的なソーシャルメディアの技術がわかっていない
  • 健康への逆効果
  • 良くない保健行動
  • ソーシャルメディアが患者の受療行動を妨げるものになる可能性
  • 守秘義務とプライバシーの欠如
  • 個人情報を公開するリスクに気付かないこと
  • 害のある不正確なアドバイス伴うリスク
  • 医療者が患者とのコミュニケーションにソーシャルメディアを使わない可能性
 情報の信頼性や質に問題があると、健康に良くない行動をとって、むしろ逆効果になってしまう場合もあります。ヘルスリテラシーが低い人の場合は、とくにそうでしょう。専門家なのに不正確な情報を発信したり、患者の情報を漏らしたりプライバシーを侵してしまうリスクもあります。また患者や市民が情報提供やコミュニケーションを望んでも使ってもらえないこともあるでしょう。

(中山和弘)(公開日2017年4月4日)

文献

[1]中山 和弘:精神科医が注意すべきソーシャルメディアリテラシー.臨床精神医学 45(10), 1259-1267, 2016. ダウンロード
[2] Mayo Clinic Social Media Network. About MCSMN. https://socialmedia.mayoclinic.org/about-mcsmn/
[3] S Anne Moorhead, et al. A New Dimension of Health Care: Systematic Review of the Uses, Benefits, and Limitations of Social Media for Health Communication. JMIR 2013;15(4):e85 https://www.jmir.org/2013/4/e85/

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