1.健康のためには情報に基づく意思決定を

米国のヘルスリテラシーのeラーニング

1.健康のためには情報に基づく意思決定を

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 米国で市民のヘルスリテラシー向上を目指して行われている取り組みの一つに、米国疾患予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)が開発したe-learningプログラムがあります
 これは、公衆衛生の専門職が市民のヘルスリテラシーに関して正しい知識を持ち、専門職自ら市民のヘルスリテラシーを向上させるような適切な行動がとれることを目指した学習プログラムです。
 このプログラムは、2004年にインターネット上に公表されており、24時間誰でも無料で利用できます。

プログラムの概要:レッスン1

プログラムの内容を簡単にご紹介します。

 プログラムは3つのパートに分かれており、まずレッスン1では、ヘルスリテラシーの概要についてです。(この「健康を決める力」ではすでに扱っている内容ばかりですが、)例えば、ヘルスリテラシーの定義やヘルスリテラシーに影響する要因、ヘルスリテラシーが低い集団の特徴などが具体的な場面と共に紹介されています。

プログラムの概要:レッスン2

 次のレッスン2は、ヘルスリテラシーが低いことが公衆衛生上なぜ問題になるのかという問いから始まります。例えばヘルスリテラシーの低い集団は検診の受験率が低いなど、健康において高リスクの行動をとる傾向がある、といったことです。

 またここでは、公衆衛生にまつわる様々な関係機関が、市民のヘルスリテラシーにどのように影響するかについても説明されています。

 これまで見てきて分かるように、市民のヘルスリテラシーを左右するのは、医療者や医療機関だけではありません。
 例えば学校での教育のあり方や学習環境、地域の環境、また法律や制度、マスコミからの情報発信の在り方なども、市民のヘルスリテラシーに影響する要因となり得るのです。

 これらヘルスリテラシーに関連する機関は、まとめて「ステークホルダー」と呼ばれます。

プログラムの概要:レッスン3

 最後のレッスン3は、専門職が市民のヘルスリテラシー向上を目指して行う活動における、課題と原則についてです。
ここでは、「専門用語が使われていること」「情報伝達の媒体をプリントに頼りがちであること」「伝達する情報の内容が、市民の行動ではなく、知識に偏りがちであること」「情報伝達の際に、市民の文化的な背景が考慮されていないこと」の4点が、市民が健康情報を理解する時に壁となる4要素であると言っています。

 公衆衛生の専門職は、日常的に市民に対して健康教育を行ったり、検診受診を呼び掛けたりします。
 これらはすべて、市民に対する健康医療の情報提供で、その全ての取り組みにおいて、対象となる市民集団のヘルスリテラシーを考慮した分かりやすい情報の内容や表現になっているか、集団にあった方法で情報提供がなされているか、関係機関への働きかけは十分かなどを見直す必要があります。

 このe-learningプログラムは、市民のヘルスリテラシーに関する原理原則を学ぶのに、非常に効率的なツールだと言えるでしょう。

 実はこのe-learningプログラムの受講は、米国の医療専門職の資格更新の単位として、国から正式に認められています。このような仕組みからは、米国が市民のヘルスリテラシー向上のために、いかに国として政策的に取り組んでいるかが感じられます。
 日本でも市民のヘルスリテラシー向上のために、まず専門職が市民のヘルスリテラシーに注意を向けるような仕組みづくりや啓蒙活動を、計画的に行う必要があると思われます。

 このCDCのe-learningプログラムについては、実際のものを誰でも受講することができます。
 また、内容について日本語で書かれたもの[1]もあるので、詳しく知りたい方はそちらをご参照ください。

(瀬戸山陽子)

[1]瀬戸山陽子,中山和弘:米国CDCによるヘルスリテラシー向上プログラムの紹介,保健の科学,55(7),p491-496, 2013

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